ドル/円相場は、81円台前半まで値位置を切り上げる展開になっている。衆院選挙の解散を受けて自民党が比較第一党になるとの見方が強まる中、日本銀行に対する金融緩和プレッシャーが一段と強まるとの見方が、円売り圧力に直結している。
野田首相は16日に衆院解散方針を示し、12月4日に総選挙公示、16日に投開票という流れが確定した。これを受けて、今後は自民党中心の政権運営にシフトするとの見方が、円売り圧力を強めている。というのも、自民党の安倍総裁は、脱デフレ戦略を鮮明にしており、インフレターゲットの導入や日銀による国債引き受け、マイナス金利の導入など、追加金融緩和圧力を強めている。来年4月に任期終了を迎える日銀白川総裁の後任についても、インフレターゲットへの賛同者が望ましいとしており、日銀の緩和政策に対する期待感が高まっている。今年2~3月には、日銀が脱デフレ戦略に舵を切ったとの思惑が一時84円台までのドル高・円安を促した。
もっとも、米10年債利回りが3月の2.3%台後半に対して1.5%台後半に留まる中、日銀の緩和期待のみで一方的なドル高・円安トレンドに発展させることも難しいだろう。円が売られ易い地合になっていることは間違いないものの、日米2年債利回りなどは逆に縮小傾向を強めており、このまま一方的なドル高・円安トレンドに発展する可能性は低いだろう。日本の政局が円高圧力の緩和に寄与していることは間違いないものの、それだけで円安トレンドが確立したと判断するのは時期尚早だろう。現段階では、円高リスクの後退といった程度の評価に留めておきたい。現行価格水準でボックス気味の展開に移行する見通し。
今後1週間の予想レンジは、80.50~82.25円。